第1章

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思わず閉じた目をあけると目の前には湖があって、その横にたった看板には 『部屋にある湖でうなぎを5匹捕まえないと出られない部屋』 「……ふふっあははははっ!!」 「はぁ…」 おかしそうに腹を抱えて笑う月子と呆れたようにため息を吐く蟲毒。 「なんなんだこれは…」 「あははっ…はぁ、いいじゃないですか!やりましょう!楽しそうですよ!」 「ふざけんな!俺はやらないぞ」 そう言わずにー、と言いつつ袖を捲りスカートをたくしあげリボンを放り投げた月子は湖にとびこんだ。 恥じらいはないのかと突っ込みたいが生憎、この場にはそれが出来る人はいない… きゃっきゃっとはしゃぐ声を聞きながら目を閉じた。 そのうちこの城もあいつも気が済むだろう、少し眠ろうか。 睡魔に身を委ねようとした。 が、 「蟲毒さーんキャッチしてください!」 「へぶっ」 突然降ってきた水とぬるぬるとした物体に邪魔される。 いつもいつも…! 怒りに任せぬるぬるとした物体をひっつかむ。 そこではたと気づいたのだ。ぬるぬるとした物体が動いていると。 嫌な予感を否定すべく恐る恐る自分の手に握られたものを確認する。 ……そう、そこには、正真正銘のうなぎがくるしそうにもがいていたのだ。 「ふざけんな月子!!」 「ぎゃっ!」 ぺシーンと気持ちの良い音が響く。 全力投球されたうなぎを目元で受け止めた月子はひっくり返り水に沈んでいった。 「ひどい!悔しかったら私よりたくさんうなぎ捕まえてみて下さいよ!!」 「望むところだ!絶対謝らせてやる!」 「いいましたねー?ギャフンといわせてやりますから!」 ザバンと飛び込んでからのせられているのでは?とも思ったが、今はこの生意気な小娘をギャフンと言わせることが先だ。 意気揚々と揺れる水面に手を伸ばした。
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