キチノイロ

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 たとえば、『空の色』は何色かと尋ねられたら。  あけぼのの薄紫色。  夜の瑠璃色。  夕暮れの茜色。  つとめてと真昼の、透き徹った水色。  答えはきっと、人によって違う。  では『花の色』はどうだろう。  桜のピンク。  ひまわりのレモンイエロー。  キンモクセイのオレンジ。  椿のカーマイン。  もっとたくさんの答えが聞けるに違いない。  人は心の中に、自分にとっての『物の色』を持っている。  たとえば、『髪の色』。  黒、白、赤、金、茶。  たとえば、『目の色』。  ブラウン、ダークブラウン、ヘーゼル、アンバー、グリーン、グレー、ブルー、ヴァイオレット、レッド。  『肌の色』はーー。  白、黒、黄。  すべての人が『これはこの色だ』と答えが共通しているものは、実は少ない。  その上で、改めて質問する。  『血の色』は、何色だろう?
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