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壊れかけの高速道路が落ちてくる。昭博はそれらを避けていく。
008
ガイアは議場で高みの見物だ。
今は、巨大植物が見ている映像――もしくは周りにいる小型の植物からの映像で、昭博の苦戦を眺めていた。
(そうだ。たかが、アリ程度の人間が。地球に適うはずがないのだ)
人間も言っていたな。
人の命は、惑星よりも重いかと。
笑わせる、惑星の方が重い。
「極小な人の命。いつ潰れようが、地球にはどうでもいい――人がアリの寿命に気を配らないように、我々も貴様らを殲滅してくれる!」
脳内の映像は、昭博の車が突き進んでいくのが見える。
(馬鹿め……)
いや、馬鹿なのはどちらか。
009
「……っ」
昭博はアクセル全開。車を走らせる。
「……いや、だって。動きはのろいしなぁ」
車は、巨大植物の下を通っていった。
010
『――はああああああああああああああああああああっ!?』
それもそのはず。
別に、昭博の望みは植物全部ではない。
とりあえず、大将っぽいものを討ち取る。昔の戦国武将のような考え方なのだ。
下僕が申し訳なさそうに助言する。
『あ、あの……大きなのですと、小さいあいつに追いつけず。――それなら、小型のを送り出せばよろしいのでは』
というか、下僕やガイアだって小型なのだが。
しかし、ガイアはなるほどとうなづき、余計なことは言わない。
『ならば、そうしろ。――いるじゃないか。大量の鳥達が』
そう、ガイアの元にはプテラノドンの姿を模した鳥達が――鳥と呼ぶにはあまりにも強靭で、たくましい鳥達が、いるのだ。
ガイアは近くの鳥に命令を伝える。あのヤクザを殺せと。
011
GIGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――!!
鳥達は、雄叫びを上げる。
そして、翼を広げ滑空し、隊列を組む。
向かうは、ほぼ直線の道路を走る青い車。
昭博が乗る、あの車。
GYAAAAAAAAAAAA――!!!
鳥は、その長いクチバシをドリルのように突き立てる。
012
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