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「……ちっ、小鳥か」
昭博は、バックミラーでうしろから迫ってくる鳥達を見た。
「面倒――だなっ!」
ブレーキを踏んで、わざとスピン――うしろから迫る鳥のクチバシを避けて、瞬間アクセルを踏む。鳥を野球ボールのように突き飛ばした。
013
『……は?』
ガイアは、また議場で唖然としていた。
あの人間、車で鳥を突き飛ばした?
『……な、ならば。か、数打てば当たるだ!!』
014
「一発でダメなら何発も――やれやれ、相手は子供か」
そんなの相手してられるかと、昭博はアクセルを踏む。
車は弾丸のように疾駆。
後方では、続々と、道路に鳥が刺さる。まるで、アテの外れたダーツだ。どれ一つとして的に当たらず、クチバシは道路に刺さって身動きが取れない。クチが開けないから悲鳴も上げられない。憐れな標本のようになってしまった。
015
『……ならば! 私のこの肉体の一部から……』ガイアは左腕を切り落とすと、そこから自分の分身を生みだした。『行け……国会議事堂前で、奴を食い止めろ』
016
「……あっ?」
昭博の目にはもう、国会議事堂が映っていた。アクセルを全開にして突き進むが――議事堂の正面玄関には、あのガイアの姿に似てるようなシルエットが。
「丁度いい!」
アクセル全快で轢いた。
017
『……っ』
ガイアは、唖然としていた。
国会議事堂の議場。机に両足を乗っけていたのをやめて、自分以上にここに不本意な現れ方をした人物をにらみつける。
ドアは大破し、座席は弾き倒された。
車が――一台の車が、乗り込んで来たのだ。
正面のフロントには車に轢かれてここまで運ばれた――ガイアの分身。途中何度も壁や突起物にぶつかったのか、散々な有様だ。
『貴様っ……』
車から、一人の男が下りる。
緑色の体液がまだついている。黒いスーツの男。いかつい顔に、大柄な体。だが、彼は今この地球において人類代表のようにガイアの前にいる。地球の意志により、人類を殲滅しようとしてるガイアの前に、社会のはぐれ者であるヤクザの昭博が、対峙していた。
いや、彼にとっては人類のことなんて大層なもの、どうでもいい。
問題は、大切な兄ぃ達を殺したのがこの植物共だということだ。
「……さて、と」
昭博は、助手席に置いた日本刀を取り出す。
刀を抜いて、鞘を車の中に捨てる。
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