第1章

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 アメリカだけじゃない、日本、中国、ヨーロッパ各国、ロシア、中東でも、被害報告が出ている。 「……くそっ」  史上稀にみる事態に大統領は頭をかかえた。ただでさえ、自身の政権は厳しい状況なのにハリウッド映画のようなことが起きている。 「各国に軍の出動要請は。これはもう、尋常な事態じゃないぞ」 「む、無理です」  事務官が返答する。 「は? 何を言ってるんだね、きみは」 「基地も襲われています」 「……は?」  ◆  世界各国の米軍基地が襲われていた。  おそらく、ロシアや中国側の軍事基地も襲われている。  ◆ 「くそっ!」  表では絶対に使わないスラングも吐く大統領。  事務官がある電話を大統領に伝えようとするが、その前にテレビの緊急速報が流れた。  日本の国会議事堂から、ある声明が伝えられてるのだ。  ◆  国会議事堂内部の議場。  茨で覆われたシルエット、ガイアは告げる。 『我が名はガイア。この地球の意志を体現する者である。もう、¥人類は滅ぶべきだ。人々の可能性はいかがものかと耐えていたが、何十年も、何万年も同じ事の繰り返し。ただでさえ、地球を汚してるのに。もう見るに堪えない。貴様等は滅ぶべきだ』  一人残らずな、とガイアは言った。  ――何故か。  これは日本語で話されてるはずなのに、世界中の人々にすんなりと伝わった。  ◆  ホワイトハウス。  大統領は、クチをあんぐりと開けていた。  頭の中に日本語が伝わったのは、どうでもいい。確かに不思議なことだが、それよりもこの女――女? メスなのか何なのか分からない生命体に、驚いていた。 『今後、貴様等の殲滅に入る。安心しろ、核施設はすでに占拠してある。その他、地球を脅かすような科学兵器があるのも占拠した。何なら確認するがいい』  大統領は慌てて事務官に――いや、その前に事務官も動いていた。 『ちなみに、日本にいるのは都合がよいからだ。ホワイトハウスを乗っ取るのは楽しみが減るだろ。それよりもまず、属国からの方が人類の芽を摘み取るには最適と考えた』  ガイアは言う。 『滅べ』  ただ、それだけだとガイアは言った。 「……議事堂に向かわせたこちらの数少ない戦力も、たったいま大破したようです」  事務官がつげる。
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