第1章

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 襲撃される中、それでも、ミサイルを発射したり、戦闘機を発進した基地があったようだ。  しかし、全てが途中で大破したらしい。 「竜巻によるものや、未確認の飛行生物に襲われるなど……で」 「もういい」  ありとあらゆる方法がダメだと、大統領は頭をかかえた。  ◆ 『愚かな』  ガイアは、議場で両足を机の上に置き、くつろぐ。  数名の下僕が周りで作業し、映像をネットに流していたようだ。 『通信設備はまだ襲うな。せめてもの余興になるからな。最低限の人間はギリギリまで残しておけ。殺すといっても一日では無理だ。ならば、せめて労働を楽しもうじゃないか』  ガイアは、全世界の映像を鑑賞していた。  中には抗おうとする者もいた。――だが、どれも結果は同じ。銃火器だけでは植物達を殺せない。装甲が意外と固いのもあるし、何より、彼らは脳によって動いてるのではなく全身の細胞によって動いている。そのため、どこかを破壊すればなんて甘いことはなく、ほぼ全てを破壊しなければならない。 『紛争地は多少苦戦してるか。あそこは武器も豊富にあるし、戦闘経験も……ま、それだけだがな』  計画に損傷をもたらすことはないだろう。それどころか、この日本ではほぼ圧勝だ。反逆の欠片もない。 『他愛ないなぁ、日本は』  ガイアは嘲笑った。  ――あっ。  と、誰かが呟いた。 『何事だ? 情けない声を出して』  あわわわっ、と情けない声は続く。 『やめろ! 我々は、偉大なる地球の意志を継いだ生命体。そんな人間のような情けない声を出して』  その人間に殺されていると、下僕は言った。 『は?』  人間に、仲間が殺されている? 『いや、確かに屈辱だがそれ自体は珍しくないだろ。紛争地だろ? だからそんなのは』  違います、と下僕は告げた。  日本です、と。 『はぁ?』  日本で、仲間が殲滅されていると言った。 『何を言って……まさか、軍が動いてるのか? 米軍基地や自衛隊はあらかじめ戦闘不能にしたはず』  違います、と下僕。 『じゃあ、警察? それにしたって、軍人と比べたら』  違います、と。 『じゃ、一体誰が』  001  ――14:21。
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