第1章

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彼女は美しくて、優しくて、誰もが恋に落ちる。誰もが愛でずにはいられない。 それは彼にとっても例外ではなかった。 「これが完成したら、もう君には会えないのかと思って……」 「何を言っているのですか?完成したって、今まで通り会いましょうよ。私は貴方に会いたいですよ。貴方は会いたくないですか?」 「会いたいさ!」 フラナが嬉しそうに微笑んだ。 釣られてカーリアンも微笑む。 そして世界の基盤は完成した。 カーリアンは役目を終えて、元の住処へと帰る。 フラナとの交流を続けたくはあったが、彼女は神々が基盤に加護を与えるのを管理する役目を担い、簡単には会えなくなってしまった。 「愛を司る神は皆に愛を与える。主だけのモノにはならんのさ」 フラナと話すようになって放っといたせいか、スラクが愚痴るようにカーリアンの心を抉る。 「そんな事はわかっていたさ」 「わかっていたなら苛立つな。醜いぞ」 「煩いなぁ」
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