これが全ての始まりだった。

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 彼女は美しい銀髪を肩口で揃えており、口一杯に棒つきキャンディーを頬張っている。もし今に私が立ち上がっているなら、彼女は私の腰辺りまでしかない華奢な体で金魚の描かれた真っ白な浴衣を着ている。  私の言ったことも気にしていない様子で、キャンディーを噛み砕きながら、  「城太郎、買い置きの飴がなくなったぞ。新しいのを買っておけと言っただろう。」  と言った。それはもう、ふてぶてしい態度である。  「あのね、白ちゃん。たまには私の話を聞きなさい!」  「知らん、そんな些細な事より私の飴がないのが重要だ。」  と彼女は、右手に持ったキャンディーの棒を、私に向けながら睨めつける。  「そもそも、君が食べているドルチェ堂の高い飴を買う為にお金なんて使えないよ!!」  「なんだ、また金欠か?」  その言葉に、私は机へと倒れこんだ。  「あぁ、そうだよ、このままじゃ来週のごはんも危ういくらいなんだよ!!」  「だったら、また新作でも書けばいいだろうが。」  彼女はそう言うと、何処からか取り出した飴をまた口に入れる。  私は起き上がると、彼女の方を向きながら、  「そんな事を言ったって、君が事件を解決しないと、小説に出来ないんだよ?!」  と言った。
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