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私は推理小説家をしている。しかし、その本の内容は大抵の事が、私が実際に遭遇した実話を元にして書かれていた。その事件を解決しているのが、同居人でもある白ちゃんであった。謂わば彼女は仕事での私にとっては相棒に等しい存在でもあるのだ。
私の言い分に、彼女は顎に手を当てて首を傾げる。
「では、事件があれば新しい飴を買うのだな?」
と彼女は懐から一枚の手紙を出した。
「それは?」
「事件を解決してほしいという手紙だそうだ。」
と彼女は有無を言わさずに、私へとその手紙を渡してきた。私はゆっくりと、手紙の封を開けていく。
「それと、面白い事がおきるぞ。」
「へ?」
私が手紙を取り出そうとすると、中から何かが原稿用紙の上に落ちてきたのが見えた。しかし、その後に見なければ良かったと思った。
「ほう、人間の小指だな。」
そう、確かに人間の指だ。布にくるまれ、まだ血色もよい状態である。
私は一瞬だけ、息がつまりそうになった。しかし、同じように見ている彼女は机の上を見つめながら黙っているのだった。
こうして、私と彼女はこれから起こる謎めいた事件へと足を突っ込むことになる。この時は、私はまさかあんな事になるとは思ってもいなかった。たぶん彼女もそうだったと思われる。
後に私はこの事を聞かれたらこう言うだろう。
ーーそう、これが全てのはじまりだった。
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