第1章

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ガタンゴトン ゆらゆら、私はその揺れに身を任せる この気持ちが彼にバレないように 澄ました顔で… それは帰りの電車だった 高校2年の私の通学手段は電車で、中学の頃は新鮮だったのが、いつの間にか当たり前になりつつあった 部活を終え、いつものように電車に乗ると、私が乗った号車はガラガラでほぼ貸切状態だった そんな時、ふたりの女友達が私に手招きをする 呼ばれるがままに座ると隣には見慣れた男子が座っていた 彼は私が普通に話せる男子の中の1人 1番話していて心地よい相手 ふたりの女友達が降りると、その号車には私と彼だけになった 次の駅で私は降りる このたった数分、沈黙 彼は単語帳を開いていた 相変わらず真面目で尊敬してしまう 揺れる電車 ふたりきり 隣にはいつも普通に話すのに 何故か今だけこんなに緊張している 何だろうこの気持ちは これが全てのはじまりだった と気づくのはもう少し先
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