11人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
勇者達の活躍により魔王は倒された。
勇者達は英雄の扱いを受け、国から民から祝福されて生活をしていた。
だがしかしその一方でモンスター達も動いていたのだ、魔王という組織をまとめる者が居なくなり各地でモンスター同士の縄張り争いが起きていた。
無論勇者達は各地に向かい討伐を繰り返してはいたが、民からの信頼は無くなっていた。
「勇者が魔王を倒さなければ今よりは平和だった」
手のひらを返した民達の言葉に、勇者一行は次々と姿を眩ましていた。
魔王亡き世界から四年、勇者である...いやあった俺は村の畑を耕していた。
「おーいリアド!そろそろ飯だぞ!」
俺は育った村に帰り、静かな毎日を過ごしていた。
ここの村は魔王亡き世界が始まっても、俺を温かく迎えてくれたのだ。
「今行くよ」
「ハハハ、だいぶ耕すのに慣れてきたか?」
畑を耕していたのはモンスター討伐に向かう前だから、もう四年が経つんだな。
久しぶりに使わない筋肉を使い、腰が痛くて叶わない。
「お前はクワより剣が似合って...悪い」
「もういいさ」
気を使われている、そう感じるとこちらも申し訳ない気持ちになる。
剣を取る事はもうないだろう、俺は勇者を辞めたんだ。
魔王亡き世界で暴れまわるモンスターの事は、気にならないと言えば嘘になる。
村にモンスターが来た時、最悪の場合は剣を取るさ。
でも討伐の旅には出ない。
俺の力ではどうにもならないからだ。
最初のコメントを投稿しよう!