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ある日の夕方、川から水を汲み村へ帰る俺は違和感を感じていた。
村の皆の様子がおかしい。
一見普通にあちこちで談笑や愚痴を言っているが、俺への視線が何処かおかしい。
不気味な感じだ、何か嫌な事が起こりそうな気がしてきた。
俺は普段と変わらぬ素振りを振る舞い、家に向かいドアの隙間から様子を伺う。
「...皆行くぞ」
先ほどまで談笑や愚痴を言っていた村人達が一斉に自宅に向かい農具を持ち出し集まっていた。
俺は先ほど仕掛けていた魔方陣から、村人の会話を盗み聞く。
「リアドの首を差し出せば本当に不自由なく生活を過ごせるんだろうな?」
「王国が指名手配しているんだ、嘘はないだろう」
「今日は重労働して疲れてるはずだ、狙うなら...」
...金に目が眩んだか。
生まれ育った場からも俺は狙われるのか。
...やってやるよ、お前らが俺を殺す気なら。
俺の家の周りは村人で囲まれているようだ。
窓とドアに爆発の魔方陣を仕掛け、俺は家の明かりを消す。就寝を装い、俺は迎え撃つ。
「明かりが消えた、皆乗り込むぞ」
誰一人気は変わらないか、魔方陣から盗み聞いていた俺は剣を抜き爆発に備えた。
裏口と玄関に村人達がゆっくり手をかける。
その瞬間に周りにいた村人達が吹き飛ぶ。
殺傷力はないが、人間が喰らえば骨はいかれるだろう。
「ちぃ!気づいてたんかよ!」
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