epi.3 看護師の正義を測るのは

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ふとナースがサンの手に目をとめた。ハサミか何かでやったのか、手の甲に走る斜めの浅い切り傷。 「怪我してるよ」とその手を取るやいなや、常に携帯している救急セットで素早く応急処置をしてしまった。 あっという間に包帯が巻かれた自分の手をしげしげと眺めてから、サンはぺこりと頭を下げた。 「早いのね、神業だわ」 マミーの称賛に照れ笑いを浮かべながら礼を言うナースに対し、小馬鹿にしたような態度でクロウが言葉を浴びせかける。 「飯のときくらい治療から離れられねぇのかよ」 「ライフワークだもの。体が反応するのよ」 「血に飢えてるってコトか」 「そんな言い方はないでしょっ」 昼食をほったらかしで口論を始めた二人に、再度チハルは止めに入った。 でも知っているのだ。 ナースが笑っていることを。クロウと共に過ごす、なんでもない時間を強く愛しているがゆえの笑顔。 チハルはそっとマミーを窺った。 彼女も一緒になって笑ってはいるが、その瞳は静かにナースとクロウのやり取りを見つめている。そして……サンも同様だった。 「あー、食った食った。次の仕事まで俺は寝るよ」 食事を終えると、クロウが独り言に近い声量で言いながら伸びをした。「はいはい、ベッドメイクするわ」と応じながらナースも立ち上がる。 カフェから立ち去る間際、先ほどとは打って変わって、彼女がさみしげな笑みを自分とマミーに投げてきたことに気づき、チハルは静かにため息をついた。 ――――心が痛む、感情
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