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……。とって?
とっておき、の響きに、一成の内心は揺らいだ。
目の前の女――少女がいっていることは、嬢華の異常な力の見たからには、事実だとしかいいようがない。あれは人の力で説明がつくものじゃない。
一成は少女をじっと見つめた。こいつは、少なくとも、ただの中二病ではない。
俺にも、常識を超えた力が備わる……のか?
「嬢華のような能力が、手に入るのか?」
「あれは、亜夢を物理でねじ伏せてほしかったから用意したもの。でも、よく考えたら、あの脳筋お姉ちゃんの力を持ってしても、亜夢を倒せるとは思えない。そこで、今、思いついたんだけど」
女の子は、もったいぶるよう間をあけた。
「亜夢も嬢華も、まとめて倒せるほどの力を、お兄ちゃんにはあげる」
「……」
亜夢という嬢華の姉はともかく、嬢華をも超える力。……おそろしい。
「今こそ、お兄ちゃんが本当の最強だって、証明してみせてよ」
さいきょう。
その言葉が、一成の深層に眠っていた中二心に小さな火を灯した。
「わかった」一成は興奮を噛み殺しいつになく低い声を出していた。「やってやるよ」
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