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月に数回、金曜日の数時間だけを、日垣貴仁と二人で過ごすようになって、もうすぐ一年が経とうとしている。彼は、管理者として、若い部下の一人をずっと気遣ってきた。そして、美紗は彼の厚意をありがたく享受してきた。その関係は全く変わっていない。
変わったのは、美紗の心だけだ。
心密かに想うだけの美紗に、日垣が別の女性に心を砕くのを、止めることはできない。
伝えられずに、想われずに、
私の「今のまま」は消えてしまうのかもしれない……
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