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「うちの1等空佐殿にさせるか……」
悪ふざけとも取れるような奇妙な発言に、席に残る一同が一斉に直轄班長のほうを見た。
「日垣1佐はもともと高峰が入るセッションに参加する予定だったし、スケジュール的には問題ないよな。あと三、四年もしたら将官になりそうな御大に司会とメモ取りの雑用押し付けるのはちっと気が引けるが、まあ、立っている者は1佐でも使えって、よく言うだろ?」
比留川と目の合った片桐は、間違いなく部長室に聞こえそうな大声で、無遠慮に笑った。幸い、当の第1部長は別の会議に出ていて不在だった。
「いくらなんでもメモ取りはひどいっすよ。部隊に戻ったら、僕なんか直接話もできないような人なのに」
「まあ、でも、今回はそれが一番手っ取り早いし」
比留川は、軽口をたたく片桐にニヤリと笑い返した。
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