3-5 極秘会議 

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 日垣が内線で何か話すと、間髪を入れず、廊下を走る足音が近づいてきた。  会議のロジを担当する事業企画課の職員のようだった。次のセッションとの間に設けられた二十分ほどの休憩時間に、「お客」の面倒を見ることになっているらしい。  日垣がその担当者に手短に何かを指示すると、ややあって、再び複数の人間が廊下を歩く物音がした。  靴音は徐々に遠ざかり、やがて、辺りは完全に静かになった。  美紗は、ゆっくりと息を吐くと、頭を僅かに出して周囲の様子をうかがった。  人の気配はなかった。  日垣の姿も見当たらない。「お客」の一団と一緒にどこかへ行ったのだろうか。  とにかく、部屋を出るなら今しかない。日垣がいなければ建物の外には出られないが、エレベーターホールの前にでもいれば、おそらく彼に会えるだろう。何と叱責されるか想像するのも恐ろしいが、先の会議中に他の出席者に見咎められるよりは、はるかにマシだ。  そろりとテーブルの下から身を出しかけた。途端に、美紗は誰かに右腕を掴まれ、勢いよく引っ張り出された。  悲鳴を上げる前に、骨ばった手が口をふさぐ。険のある低い声が、耳元でささやいた。
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