3-7 スパイ嫌疑 

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  「うちの部で例の準備室の存在を知っているのは、私と比留川と高峰だけだ。ただ、比留川は……」  日垣は、そこで言葉を切り、周囲の様子をうかがった。課業時間中にもかかわらず、二人のいる懇談スペースの周辺は、意外と人の往来が多かった。 「取りあえず、直轄チームの連中を巻き込まないでくれ」 「どういう……こと、ですか?」  美紗の掠れた小さな声は、二人の傍を歩き過ぎる人々の話声や足音でかき消された。  日垣は軽くため息をつくと、制服の胸ポケットから手帳を取り出した。そして、何かを素早く書き付けると、そのページを破り取った。 「どうも部内ではかえって話しにくいな。もう少し落ち着ける場所に心当たりがあるから、そっちで話そう。今日、この後、時間とれるか?」  美紗は黙って頷いた。 「そこの駅のA5出口付近に…、そうだな、七時頃来てもらえるか。着いたら下に書いた番号にかけてくれ」  言い終わると、日垣は、美紗の返事を待たずに立ち去っていった。
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