2人が本棚に入れています
本棚に追加
職員室についたけど、誰もいる気配はないね。でも、ここまで来たので、職員室の戸を開けてみた。
『ガラガラ…』 「失礼しまーす」
首だけ職員室を覗きこむように、ボクは見たんだ。誰もいない。今日は片付けとかにきているかと思ってきたんだけど、先生も他の学校に行ったのかな? でも、先生たちの机の上は、まだ荷物が残っている。休みの日にでも、片付けに来るのかな?
でも、誰もいないのに学校って、開いているんだ。用務員さんが開けたのかな? 校門も開いてたし。
「おい! 木村! やっぱりか!」
急に後ろから声が聞こえて、ボクはびっくりした。職員室の戸が、外れる勢いで、『ガタガタガタ!』って、動かしちゃったよ。振り返ると、担任の秋吉先生がいたんだ。
「あの、来るの間違えちゃって…」
「ああ、そう思ってな。今日は休みにしていたが、出てきていたんだよ」
「はあ、ごめんなさい」
「いつものことだ、気にすんなよ」
ボクはもう、諦められているようだった。どうしてすぐに忘れちゃうんだろう? ボクにもわからないんだ。物覚えが悪いのか、どんなことでもすぐに忘れちゃう。でも不思議で、人や物の名前だけは、なぜか忘れないんだ。
最初のコメントを投稿しよう!