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ーー なんで赤面してるんだろう ーー
千佳子は深呼吸をした。
酔っているわけでもない。
好みなわけでもない。
むしろ今まで嫌いだった。
そんな男の言葉で赤面したのが屈辱だった。
ーー 年のせいかな…… ーー
そんな気もした。
とにかく、この熱い顔を冷まさなければならない。
廊下で壁にもたれていると、深雪に話しかけられた。
「佐伯先生、酔ったんですか?」
「いや、そんなにのんでいませんから」
「この部屋暑いですよね。私も涼みたくて」
深雪はそういうと、千佳子の隣りに来た。
「さっき、さりげなくて格好よかったですよ。」
「そうですか?」
深雪は微笑んだ。
千佳子は正直、ドキッとした。
心底、綺麗だと思った。
「ああいうの、しょうがないんだろうけど……見苦しいじゃないですか」
深雪は言い切った。
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