2 Damn it !

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「せっかく教職についたんだから、長く続けてもらいたいですし」 深雪の真意はそこにあった。 理想と違う、同僚とうまくいかない、保護者ともめた、激務……様々な理由で若い教師が育ち辛い現代だ。その時代と直結した就職難を経験した深雪ならではだろう。 「私の頃はまだマシだったかも」 千佳子は呟いた。 「そうなんですか?」 「……うん。就職難だったけど求人はあったし、今でこそ激務だけど変な親も少なかったし……生徒も今より扱い易かったな」 「扱い易いって……」 深雪が苦笑した。 苦笑しても美人だ、千佳子はそう思った。 「佐伯先生は、野口先生とどうなんですか?」 「どうって?」 「うまくいきそうですか?」 「ん?、ただの教育担当だしね。本人次第じゃない?」 「そ、そーじゃなくて!」 深雪が急に大きな声を出した。 「え?」 「……あの、その、男として」 深雪の声が急に小さくなった。 「圏外」 「は?」 「だって相手既婚者だし……私アラフォーだし」 千佳子は言い切った。
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