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もう一度深呼吸をしてから戻ると、千佳子の座っていた所に高野がいた。
野口と話し込んでいる。
そんな2人をボーッと見つめていると、高野に呼ばれた。
「あ、はいはい」
千佳子は返事をして高野の隣りに座った。
「ちょっと、野口先生面白いんですよ」
お酒が入って上機嫌な高野だ。
「そ、そうなの?」
そのノリについていけないながらも、千佳子は返事をした。
野口はきょとんとしている。
「そんな面白いですかね」
「面白いですって。自分の部屋で実験して蛍光灯割るとか事故っていうより事件ですよ」
そんなエピソードに千佳子も吹いた。
「そんなことしてたんですか」
「あ、まあ。でもこれって、よく聞く話ですよ」
「ないないないない!」
高野は爆笑している。
千佳子も面白いは面白いのだが、高野ほど盛り上がれずにいた。
野口も、高野のテンションに困り顔をしている。
「佐伯先生は、実験とか……しませんよね」
「するわけないでしょう!」
高野が口を挟み、またまた爆笑した。
「ホラ、野口先生が困ってるよ。ちょっと水でものみなさい」
千佳子はそう言うと、高野にお冷やを渡した。
「佐伯先生、優しい!頼もしい!」
そう言って抱きついてきた。
ふんわりといい香りがした。
それは、友の香水と同じ香りだった。
「……ずいぶん大人の香りだね」
「そうですか?気付きました?私、目指せ美魔女ですから!」
冗談か本気か、高野は真顔だ。
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