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千佳子が目を覚ますと、狙いすましたようにスマホが鳴った。
名前は「ボム」とある。
全く覚えがないのだが、一応出てみた。
「はい」
『あ、佐伯先生ですか。野口です』
「……昨日はどうも。大丈夫でした?ちゃんと帰れましたか?」
社交辞令的に言葉を返した。
『それは僕のセリフです。』
「え?」
『誰が送ったと思ってるんですか?』
「は?」
『……』
突然電話が切れた。
そして廊下の扉が開いて、そこには野口が立っていた。
「はあああああ!?」
「……」
野口は無言で立っている。
「どうして?あれ?帰ってないの?」
「覚えていないんですか?」
それから野口は切々と語った。
どうやらあの後、千佳子は2次会のカラオケで野口に今まで隠していた本音をぶちまけたらしい。そして家に送らせたあげく、鍵も閉めずにベッドに潜り込み、野口には浴室で寝るように毛布を投げたそうだ。
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