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「それ、冗談?」
「全部本当です」
野口は怒っているはずだが、表面上は笑顔で言い切った。
「ごめん」
「……」
野口は何も言わない。
「本当にごめんなさい」
千佳子は深々と頭を下げた。
「あ、奥さんに私から謝ろうか」
「……言うわけないでしょ」
「……」
「校長と3次会に行って、漫画喫茶で寝たことになっていますから」
「あ、そっか」
「あ、そっかじゃないですよ!」
やはり野口は怒り出した。
「あああ、もう。俺新婚なんですから。勘弁して下さいよ!こんなのバレたら早々に離婚危機じゃないですか!」
野口は怒っているが、千佳子は何故か笑えてきた。
「何がおかしいんですか」
「いや、ゴメン。一晩空けたくらいで離婚て……本気?」
「は?」
「……結婚て、そんなもんなの?」
「……」
今度は野口が黙った。
みるみる顔が赤くなっていく。
「あのさ、その辺は夫婦の問題なんだろうけど……それで離婚危機って私には理解不能」
千佳子は言い切った。
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