2人が本棚に入れています
本棚に追加
「人形ではないと言ったはずだが…ましてや、あんた、でもな? 悪いがこの俺にはれっきとした名前がある。モノではないのだから、声を掛ける時はそれでお願いしたい。それが対等な人間対人間(ひと たい ひと)の付き合い方だろう?」
「名前? そんなものは主人に付けてもらうもんでしょうにっ! あんたってほんとにお人形さんじゃありゃしないわね? 可愛げってものがまるでありゃしないもの! いいえそもそも名乗りもしないで何を言ってるのよ!! それによくもいけしゃあしゃあと、そうだわっ、よりにもよってこのわたしとあんたが〝対等〟って、なにごとよ!?」
これまでのご多分に漏れることなきごく当たり前な主人と使用者の位置関係でこれと臨んでいたはずが、その前提をおよそ根底から覆(くつがえ)すかの暴言だ。
それを相手があんまりにもしれっと言ってのけるから、危うく聞き流してしまうところだった。
キリキリと柳眉を逆立てて不服および不平不満を申し立ててやるに、相手はその一瞬、かすかにこの口もとがほころんだものか…?
最初のコメントを投稿しよう!