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「はっ!? 何を言っているの? それにおまえって…! それが仮にも主(あるじ)に対してする口の聞き方? おまけにおじいさままで気安くジイサン呼ばわりするのも許しがたいわ! 死んでしまったからと態度を豹変させるのは、契約を切られた使用人たちだけでもうたくさんっ…! よくもこの、ろくな感情も持ち合わせないデク人形の分際(ぶんざい)でっ! いいこと、わたしをただの非力な小娘だと思っているのなら、ただちにこの場を出て行きなさい!!」
激昂(げきこう)して細い肩を震わせる少女に、正面で相対(あいたい)する黒服は憮然(ぶぜん)としたさまでみずからのいかつい肩を若干(じゃっかん)だけすくめさせた。
「だからその認識が間違っていると言っているのだが? これまでおまえをエスコートしてきたモノに人形などはいなかったはずだ。確かにこの俺たちに人権はないものだが、人格が、れっきとした自我(じが)があるのだからな…! それとおいそれと職務を放棄することもできない。出て行けと言われても、それは無理な相談だな? 何故(なぜ)ならこの正式なクライアントであるおまえのジジイ…もとい、おじいさまとこちらはしっかりと契約を取り交わしている都合…どうした?」
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