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「…暇ね」
「……」
「ねぇ、奈緒」
「……」
「ねぇってば」
「……」
「ひま」
「……」
「ひまひまひまひまひまひまひまひまひまッ、ひぃまぁぁぁッ！！！！」
うぜぇッッ！！！！！！
朝の財布騒動は、結局財布を交番に届けるという一番正しい選択をすることで解決し、学校で授業を受けている俺にイミナが絡んでくる。
「無視してんじゃないわよ、奈緒！そんなにあのハゲ頭の授業が楽しい？」
イミナは俺の机に腰掛けると、教壇で熱心に授業を行っているクラス担任の明茂（あかるい しげる）先生を指差した。
やめろ。
たしかにシゲちゃんはハゲてるが、本人はそれを気にしているんだ。
気にし過ぎて、生徒に「明先生」なんて苗字で呼ばれると理不尽にキレる始末。
明の頭は明るいってか？
あの人まだ三十歳だぞ。泣けてくる。
まぁというわけで、生徒からは「茂先生」とか「シゲちゃん」とか呼ばれ、頭の話題に触れることはタブーとされている。
「明るいっていうよりもはや眩しいわよね。あと全然茂ってない」
「ぐふッ！？」
タブーどころじゃないいじり方してきたんだけどこの天使。
おかげで笑いを堪えて変な声が出ちまったじゃねぇか。
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