第1話 柊奈緒は振り回される

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「ん?どうした柊?」 「…い、いや、ちょっとむせただけっす」 シゲちゃんの言葉にクラスメイトのほとんどがこちらを向いたが、すぐに元に戻る。 「…ちょっと。変な笑い方しないでくれない?いきなり皆に見られてびっくりしたから」 そう言いながらも俺の机から退かないイミナは、眼を細めてこちらを睨んだ。 「……」 いや、睨まれても困るんだけど。 笑わせてきたのはお前だし、それにそもそもお前は俺以外の人間には、声も姿も認識されないんだろ。 以前本人の口からそう説明された。 実際今も、シゲちゃんとクラスメイトは俺の方から眼をそらした後、何事もなかったかのように授業を再開している。 そして、声も姿も認識されないのはもう一人も同じで… 「イ、イミナさん…?奈緒さんの邪魔しちゃダメですよぉ…」 机の横からひょっこり顔を覗かせてきたハレ。 自分の声は周りに聞こえないはずなのに、小声で話す辺りが健気である。 本当に悪魔か? どっかの天使にも見習って欲しい。
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