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「ん?どうした柊?」
「…い、いや、ちょっとむせただけっす」
シゲちゃんの言葉にクラスメイトのほとんどがこちらを向いたが、すぐに元に戻る。
「…ちょっと。変な笑い方しないでくれない?いきなり皆に見られてびっくりしたから」
そう言いながらも俺の机から退かないイミナは、眼を細めてこちらを睨んだ。
「……」
いや、睨まれても困るんだけど。
笑わせてきたのはお前だし、それにそもそもお前は俺以外の人間には、声も姿も認識されないんだろ。
以前本人の口からそう説明された。
実際今も、シゲちゃんとクラスメイトは俺の方から眼をそらした後、何事もなかったかのように授業を再開している。
そして、声も姿も認識されないのはもう一人も同じで…
「イ、イミナさん…?奈緒さんの邪魔しちゃダメですよぉ…」
机の横からひょっこり顔を覗かせてきたハレ。
自分の声は周りに聞こえないはずなのに、小声で話す辺りが健気である。
本当に悪魔か?
どっかの天使にも見習って欲しい。
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