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「あ――」
ケースもない裸の小さな消しゴムが机から落ちた。
二、三回跳ねるとコロコロと静かに転がる。
「…はぁ」
まぁそんなとこだろうと、大げさにため息をついたイミナは、俺と共に転がる消しゴムの行く先を眺めていた。
まぁ、そうだよな。ハレがする悪魔っぽいことなんて精々これくらいが限界で――
「!!」
おい。
待て、消しゴム。
止まれ。
そこにだけは行くな。
その机の下はやめてくれ。
その机は、学園のアイドル沢渡(さわたり)さんの――
しかしそんな俺の祈りむなしく小さな消しゴムは、黒いニーソックスに包まれた細く長い足の側でピタリと止まった。
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