プロローグ

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人間誰しも魔が差すことってあるよな? やってはいけないと分かっていても、ついやってしまうみたいな。 「立入禁止」って看板があると奥に何があるか気になって入ってしまったり、カンニングをした奴だって「魔が差した」とか言ったりする。 今だって、ほら。 俺の目の前に一つの財布が落ちている。 茶色い無地の長財布。登校途中の道端で見付けたそれを、俺は一体どうするべきなのだろう。 「……」 いや、分かっている。 こんなときどうすればいいのかなんて、小学生ですら知っている。 「交番に届けろ」だ。分かっている。 …分かってはいるのだ。
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