第1話 柊奈緒は振り回される

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「はぁ…はぁ…。っていうか!」 ひとしきりツッコミを終えて、荒くなった呼吸を整える。 「沢渡さんが俺に気があるとか本気で思ってるわけないだろ!」 そう。それはそうなのだ。 今日の沢渡さんの行動は、彼女にとっては普通のことで、誰にでもあの優しさと笑顔は向けられる。 たまたま消しゴムを落としたのが俺だっただけであって、俺だけが特別というわけではない。 これは、彼女のことを知っている人間は誰でも分かることだ。 完璧な彼女は、誰にでも平等に優しい。 だから、勘違いのしようがないのである。 「…そんなことあり得ないんだから、少しくらい夢みたっていいだろ」 少し拗ねたように、目の前の二人に本音を漏らしてみた。 「奈緒…」 「奈緒さん…」 「……」 「言ってて悲しくならない?」 「なるよ!!泣きそうだわ!!」 イミナに慰めなんて期待していなかったが、コイツは本当に最低だ。
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