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「はぁ…はぁ…。っていうか!」
ひとしきりツッコミを終えて、荒くなった呼吸を整える。
「沢渡さんが俺に気があるとか本気で思ってるわけないだろ!」
そう。それはそうなのだ。
今日の沢渡さんの行動は、彼女にとっては普通のことで、誰にでもあの優しさと笑顔は向けられる。
たまたま消しゴムを落としたのが俺だっただけであって、俺だけが特別というわけではない。
これは、彼女のことを知っている人間は誰でも分かることだ。
完璧な彼女は、誰にでも平等に優しい。
だから、勘違いのしようがないのである。
「…そんなことあり得ないんだから、少しくらい夢みたっていいだろ」
少し拗ねたように、目の前の二人に本音を漏らしてみた。
「奈緒…」
「奈緒さん…」
「……」
「言ってて悲しくならない?」
「なるよ!!泣きそうだわ!!」
イミナに慰めなんて期待していなかったが、コイツは本当に最低だ。
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