9人が本棚に入れています
本棚に追加
ふわふわと部屋中を漂うイミナを冷めた目つきで追っていると、突然ドアが開いた。
「兄ちゃーん。綾奈が飯出来たから起きてこいって――、ってもう起きてんじゃん」
そこから顔を覗かせてきたのは、弟の奈月(なつき)だった。
以前はこうやって起こされても、ギリギリまで二度寝を続けていたものだが、ハレのおかげで今はバッチリ目覚めている。
「あぁ、着替えたらすぐ行くよ」
「あーい」
奈月はそう言ってドアを閉めて部屋を出ようとする。
「あ…、そ、それじゃあ着替えが終わるまで部屋の外で待ってますね!」
ハレがその後を追うようにして部屋を出て行った。
まったくもって気が利くいい悪魔だ。
いいお嫁さんになるな。
…そもそも悪魔って結婚するのかな。
いや、相手がいないなら俺がする。
「あー、でもそうなったら地獄行き確定だよな…」
それはそれで微妙である。
そんなことを考えていると脇腹辺りにゴンッと何かがぶつかった。
最初のコメントを投稿しよう!