プロローグ

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「どうすればいいかなんて決まっているじゃない。有り金全部抜き取って財布は川にでも投げ込んでしまいなさい。証拠隠滅よ」 「え、えっと…、やっぱり落とした人は困っているだろうから、拾って届けてあげた方が…」 葛藤する俺の耳元で聞こえるその声の主達は続ける。 「はぁ?そんなことして一体何になるのよ?いくらお礼を言われたところで何の足しにもならないし、たとえ何か物でお礼をされたとしてもそれはどうせつまらない物よ。お菓子とか洗剤とか、本当につまらない物をよこすんだから」 「だ、だって良いことをすれば気持ちがいいし…、お財布を落とした人だって助かるし…」 「落とした人のことなんて知らないわ。財布を落とす方が悪いの!自業自得よ!!」 「で、でも…」 「でももデーモンもないわよ!!何をいい子ぶっているんだか。それでもアンタ――」 「おい。もうやめろ」 いつも通りのことではあるが、一方的な展開に俺は半ば呆れながら声がする方を振り向く。
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