第一章・ーたのしみー

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 そうしている内に材料も尽きてきて、仕方ないかとまた調達しに外出する。  今日はどこに赴くかと考えながら軽い散歩がてら一人公園を歩いている。 「おい。ちょっと、君」  不意に声をかけられ振り向くと、視界に入ったのは制服警官で、厳しい表情を顔に貼りつけたままで立っていた。  ……? 一体俺に何の用だ? 今忙しいのだがな。  そんな事を考えながらも、無視をして警官の心象を損ねるのも嫌なので素直に向き直る。  すると、一瞬にして怯えた表情を浮かべた警官の一人が、身体を僅かに震わせながらも言ったのだ。 「○○、連続バラバラ殺人事件の犯人として逮捕する」  気丈にも俺にそう伝え、両手に手錠をかけようとする。  ……は? ちょっと待ってくれ。連……続……? 何だって? 俺が、殺人犯……。  訳が分からず混乱している内に、本当に手錠をかけられそうになって思わず本気で抵抗する。  俺は知らない。そんなの知らない。お前、嘘を吐いているだろう。  誰かが俺を陥れようとしている。騙そうとしている。殺される。助けて欲しい。誰か、誰か助けてーー!
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