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・・あんたは、あいつに告白しないの?
好きなんだろ?
と、窓の外を見ながら、彼が私に聞いた。
カーテンが風に靡く。
逆光で表情は、見えない。
だから、私はいった。
失いたくないから、と。
そうしたら、彼は笑って(顔は見えないけど、多分)
何を失うわけ?
と聞いてきた。
何を、って・・
私は言葉に詰まる。
・・何だろ?
すると彼は馬鹿にしたように笑って、いった。
ハッ
それって、二次元と変わんないんじゃん?
・・二次元?
彼女が聞きかえす。
漫画とかだよ。自己完結なんだから、相手が実在の人間である必要すらなくね?
・・それは・・
彼女が口ごもると、彼が続ける。
机に腰掛け、窓の外を見ながら。
・・ね、手に入れてないのに、失うって、何?
彼の瞳が私を正面からとらえた。
元々あんたと付き合ってないやつに、告白して、仮に振られたとしてさ、
・・あんた、一体何を失うの?
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