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放課後。
今日は日直だったため、日誌をつけるために椅子に座って教室に残っていた。
「痛っ……」
目にゴミが入り、涙が出てきた。
ハードコンタクトレンズをしているせいで痛さが半端ない。 鞄から取り出したハンカチで目元をおさえた。
腹痛や頭痛といい、今日はなんだかツイてないな……。
ペンを握り直して日誌に目を戻した。 と同時に、バサバサっと何かが落ちたような音が廊下側から聞こえてきた。
反射的に顔を上げると、また例の男子と目が合った。
「!」
ガリ勉くん。
開いた教室の扉の前に立って中腰になっていた。
どうやらチャックが開いたままの鞄を手から取り落としたのか、床に教科書やノートが散乱していた。
「だ、大丈夫……?」
見て見ぬ振りをするのもおかしいし、私は席を立って彼に近付いた。
「……!! だ、だだ大丈夫……っ!!」
いつものごとく挙動不審に視線をキョロキョロさせてから、さらに私が側に寄ると目元を隠すように手で前髪をぐしゃぐしゃにした。
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