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「でも、完璧なあいつの唯一の欠点は」
武田くんは私のことを指差した。
「好きな女の子の前では自信を失くして、緊張しすぎて挙動不審になっちゃうこと」
「……!!」
「だから、騙すみたいになってゴメンね。 告白したいけど呼び出しても柏木さんは来てくれないんじゃないかって不安そうにしていたから、最初の手紙だけ俺の名前を使ったんだ。 なぜかあいつ、俺の名前にしとけば来てくれると思ったらしくて……」
ううっ……。
た、たしかに、武田くんからの手紙だったから、いそいそと屋上に向かったかも……。
「あと、今日柏木さんが具合悪そうだったのも今ここで一人で日誌書いていたのも、あいつが気付いたんだけど、自分が行くのは緊張するからって俺に頼んできたんだ」
そのとき、ガラガラっと大きな音を立てて、閉めていたはずの教室の後ろの扉が開いた。
大きな声が響き渡る。
「すすす、昴ぅぅっっ!! 勝手に言うなよ!!! お、俺がちゃんと自分の口で言うってあれほどっ……!!!!!」
顔が真っ赤に上気させて、相当取り乱した様子のガリ勉くんだった。
「あぁもう、覚悟を決めなよ。 男ならさ」
そう言う武田くんのもとに、ガリ勉くんがズンズン歩み寄る。
「きっ……決めてるっつーの!! じゃなきゃ、ラブレターなんて書くわけないからっ!!」
そして、私の方に顔を向けた。
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