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本気にして恥をかかなくて良かった。
武田くん、気まずそうにしていたから、嫌々罰ゲームをやらされたんだろうな……。
翌日の朝、下駄箱の前に立つとまたもや手紙のようなものが入っているのに気付いた。
なんだろう?
キッチリ折り畳まれた紙を開くと、一昨日と同じ、とても綺麗な文字で私宛の手紙が書かれていた。
『柏木八恵子さん
昨日は、突然すみませんでした。 でも、これだけは知っていて欲しいと思い、もう一度手紙を書きました。 これは罰ゲームではありません。 本当に僕は柏木さんのことが好きです。
武田』
「え……!?」
あまりに驚いてよろけると、背中が誰かにぶつかり、その反動で下駄箱に手をついた。
「あ、ごめんなさい……!」
「い、いや、お、おお俺こそ……っ!」
隣のクラスのガリ勉タイプの男子だった。
ド近眼なのか分厚い眼鏡をかけていて、いつも挙動不審な態度をとっている。
彼は左を見たり右を見たりキョロキョロもじもじしたかと思うと、ハッとしたように顔を上げた。
「か、柏木さん! 手から血が出てる! ご、ごめん。 これ……!」
「えっ?」
どこから取り出したのか、絆創膏を手渡された。
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