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「え? D組の武田くん? うん、格好良いよね。 一年生のとき同じクラスだったけど、相当モテてたよ」
昼休み。
仲良しのクラスメイト、理沙とお弁当を食べながら、武田くんのことをリサーチしていた。
「っていうか、やえっち、なんで突然武田くんに興味持ったの?」
やえっち、というのは、私の愛称。
やえこ、という名前が今っぽくないから嫌いだと言ったら、理沙がそう呼んでくれるようになった。
理沙が、日頃男子の話をあまりしない私に顔をニヤニヤさせた。
「ち、違うよ! 好きとかそういうのじゃないからね。 普通に格好良いなって思ったから聞いただけで……」
「ふぅーん?」
ラブレターを二回ももらったなんて口が裂けても言えない。
それに、あれはやっぱり冗談かもしれないし、彼の本性をまだ私が知らないだけかもしれない。
理沙は、おそらく勘違いしたままニッコリした。
「ま、彼女は今はいないみたいだよ? 狙い目かもね。 顔面偏差値も、頭の偏差値も、運動神経もパーフェクトで、性格も良いし、欠点無いっていうか……」
そして、うーん、と天井を見上げて、「だけど」と付け足した。
「彼、一番ではないんだよね。 中間、期末考査でも二番、体力測定の結果も全部二番。 サッカー部のエースも彼じゃないし」
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