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階段を昇りきらないうちに、誰かに肩を叩かれた。
「柏木さん。 そんな重そうなもの俺が運んでおくから、保健室に行きなよ」
振り向くと、武田くんだった。
どこから来たのか、急いだらしく髪の毛が少し乱れている。
「……え?」
「顔色がすごく悪いよ。 さっきの体育の時間もお腹をさすりながら辛そうに走ってたんでしょ?」
「え? どうして知って……」
言い切る前に、私の手から教材を強引に受け取った。
「教室でいいんだよね? もらうから。 早く保健室行きなよ」
背中を向けて早足で廊下を進んで行ってしまう。
「……」
さっきの体育はA組との合同だったし、武田くんは私の様子なんて絶対知らなかったはずなのに。
なんで?
武田くんからもらった私宛のラブレター。
あれは、もしかしたら冗談じゃなく、本当のことだったのかな?
武田くんは私のことを好き……?
そこまで考えて、何かが違う気がした。
何が、と言われるとわからないけれど、何かがしっくりこない。
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