好きと言えない恋愛事情2

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「さむっ……」 店を出た途端襲ってくる、身を刺すような冷気。 羽織っただけのコーディガンの前見頃をしっかりと重ね合わせて、一直線に目と鼻の先のコンビニを目指す。 店内で温かい缶コーヒーを購入した後、屋外の喫煙所へ足を進めると、早急に手持ちのタバコに火をつけた。 ふーっと大きく煙を吐き出しながら、真っ黒で星ひとつ見当たらない夜空を見上げる。 てか、居酒屋でタバコ吸えないとかあり得ねーし。 なんで俺が女に合わせて禁煙席座らなきゃなんねーの? 腹立ったついでに店内の情景が脳内によみがえってきて、今も啓士郎はタバコ吸うのも我慢してあの女につき合ってやってんのかと思ったら、言い様のないイライラが俺の頭を支配した。 吸ったばかりのタバコを灰皿で揉み消して、新しいタバコに指をかける。 その端っこをくわえながら、なかなか着火しないライターにまで苛立ちをぶつけかけた瞬間、前方から近づいてきた耳慣れた声にふと力が抜けるのを感じた。 「悠里?なにしてんの?」 「……千秋。」 顔をあげた先に見えたあどけないその表情に、眉間の皺が消えていく。
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