第2章

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「あの、あ、とにかく、私がノート用意して、書いて持って来るからっ。持って来たら渡すね!」 早口で言い逃げのようにそう彼に告げて、足早に音楽室に戻ろうと歩き出す。 鼓動の音が煩いくらい鳴っている。 もしかして私も顔が赤くなってないかな。 音楽室と準備室を繋ぐ扉の所で後輩の女の子たちとすれ違う。 「「お疲れ様でしたー!」」 「お疲れ様。ちゃんと綺麗に片付けていってね。」 「はーい!」 「あれ?大沢、どうしたの?」 私が音楽室に足を踏み入れた所で後ろの会話が聞こえてきたが、足を止めずに鞄を取りに向かう。 鞄の所に辿り着くと力が抜けたようになり座り込みそうになった。 すると強い視線が突き刺さる。 チラッと見上げるとそこには勘の鋭い絵里がいて、またもや私の異変に気付いたようだ。 「唯、アンタ何してんの?」 「え?!何にもしてないよ?」 絵里の言葉に反射的に身体に力を入れて悟られないようにと思うが、やべ…やっぱり気付かれたか? でも、まだバレたくない。 そのうちバレるだろうけど、今はまだ、ヤダ! またまた疑いの目が突き刺さる。
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