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私が部活を引退した後は更に会う時間が減り、ノートでのやり取りと、たまに校内でばったり会えた時にほんの少しの立ち話が貴重な時間だった。
冬休みも終わり三学期が始まってからは毎日のノート交換が途切れがちになった。
決して交換日記が面倒になったわけではないと思う。
何としてでも毎日交換しないと、と頑張っていた気持ちが薄れたのか、会えたら渡せばいいかというような状態になり…。
会えても会話する事も少なくなっていき…。
そうこうしているうちに私は受験が始まって。
気がつけば交換日記は止まったままになっていた。
そしてあっという間に卒業式当日。
言葉も交わさないまま…式の後に校庭で在校生と教師と保護者が作る花道を見送られ。
その後で生徒玄関前で部活ごとに塊になり写真を撮ったり花束や記念品を貰ったり。
意中の先輩の制服の釦や校章などをもらう在校生たちでごった返していた。
私も吹奏楽部の集団に囲まれ最後の別れを惜しんでいた時、ふと視線を感じて振り向くと、自分の部活の集団に紛れて立つ彼と視線がぶつかる。
どちらかが歩み寄るということもなく、ただ視線を外さず見詰めるだけ。
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