第1章

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翌日彼は吹奏楽部の練習に顔を出していた。 でも人の目がある所で堂々と渡せるものでもなく、休憩時間に周りの目を盗んで視線が合った彼にこっそり廊下に出るように合図を送り、封筒をセーラー服のポケットに忍ばせてこそこそと音楽室を出た。 放課後ほとんど生徒が通らない階段の方まで進み、彼を待つ。 少し遅れて足音が近付いてくる。 なぜかドキドキして待つ、私。 なんで私がドキドキしてんの? 不思議に思っていると彼が現れた。 「はい、これ。」 視線は合わせず封筒を差し出す。 「あ、ありがとーございます!」 封筒を両手で受け取りペコッっと勢いよくお辞儀する彼。 あ、また照れ臭そうに笑ってる。 そんな彼を見てクスッっと笑いが洩れた。 「じゃあ、戻るね。」 彼の脇を通り音楽室に戻ろうとすると、 「先輩!また書いて来たら受け取ってもらえますか?」 不意に声をかけられたので顔を見上げて、 「ん?いいけど…。」 「えへ。じゃあまた書いて来ます!」 またアンケート用紙持ってくるの?と思ったけど、 「うん、わかった。」
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