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17時ジャスト。 退社の挨拶もそこそこに、あずきは勤めているオフィスから飛び出していく。 これが5分10分と時間が遅れれば、終業時間を迎えた他の女性たちから、夏樹はますます注目を集めてしまうだろう。 それは確かに夏樹に話を持ちかけた時点で、あずきが期待していたことではあるが、しかしせいぜいあずきが狙っていたのは、ほんの数人。 同じオフィスに勤める、ひとりかふたりの噂好きの同僚で十分だ。 夏樹の存在を見せて、 「実は恋人がいるんだ」 程度にうそぶければ、あずきは少しばかり救われることになる。 しかし夏樹がこんな風に目立つだなんて、あずきの想像を超えてしまっている。 だいたいなんだって、夏樹は約束の30分も前から会社の前にいるのだ。 あずきの終業時間に合わせてちょいと迎えに来て、さっさと連れ去ってくれれば、それで十分だったのに。 なのにでっかいSUV車を横付けして、全会社の社員から注目されているなんて、あずきの計画にはないことだった。
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