第1章

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「それから、色々と自覚してほしい事はたくさんあるんだけどね。まあ日々の学びの中で充分理解してると思うけど、これから君達が成長して行く中で常に意識してほしいのは 《何事も徹底的に!》 我が校は世間でも一目置かれるエリート校なのは君達も知っていると思うが、それは、全てにおいて徹底的に挑んでいるからである。表の顔であっても徹底的にやる事で評価が勝手についてくる。 半端は許されない。善悪、どちらにしても徹底的に追求する事で道は開かれるというわけだ。 今回の行事に於いても《何事も徹底的に》この事を頭に置いて挑むといいよ。 余談だけど、ひとつ話をしよう。 5歳児の話。 この5歳の男の子には3歳になる弟がいて、ある時、出先で弟が母親にキャンディをねだったんだ。勿論、母親は幼い子供を連れて出掛けるのに、おやつの準備もしてあった。他にも友人の子供達がいて、袋から出して数えたらキャンディが、人数分よりひとつ足りない事に気づいた。 それを見ていた5歳の男の子は、『僕はいいよ。みんなにあげて。』と神がかりな一言を口にした。 それを見ていた母親達は、口を揃えて5歳の男の子を『流石、お兄ちゃんね。』と褒め称えた。だが、5歳の男の子の意図する行動と母親達の解釈は、かなりのズレを生じさせていた。 5歳の男の子は譲ったのではなく、いらなかったのだ。 このズレの状況を冷静に観察し世の中の動きとリンクさせる。イメージしていたのは世界各国との首脳会談だそうだ。 この時、5歳の男の子は人をコントロールする事が出来ると学んだという。 深いね。恐るべし5歳児だ。 後に彼は日本の中枢を支配したと言われている。勿論、ここの卒業生だよ。余談はおしまい。 何か感じ取れるものはあったかな? じゃあ、説明を続けるね。」
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