第二章

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これで僕はまた秋が嫌いになった。 なんで日本には秋があるんだろう。 なぜ、この時期を秋と呼ぶんだろう。 「…弾かないわけには…いかないか…」 そっと鍵盤に指を置く。 この曲を弾くのはそれこそ何年ぶり、という感じだから上手く弾ける気はしないが、まぁそこは目を瞑ってもらって。 「…ふー…」 指の入りは柔らかく。 鍵盤を叩くように強いところ。 ペダルを優しく踏むところ。 記号を見ながら、音符を読みながら。 …くそ、くそ、くそ。 僕が今ピアノを弾いているのは、秋にある文化祭なんて行事のせいなのに。 …なのに、くそ。 久しぶりに…ピアノを弾けて楽しいと思ってしまっている。 …くそ、くそ、くそ!
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