第二章

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「…さ、齋藤くん?大丈夫?」 僕が立ち尽くしていると、一緒についてきてくれた吹奏楽部の女子がびくびくしながら僕に話しかける。 「…平気。わざわざありがとう」 その大丈夫、と声をかけるタイミングは数十分前の教室ではないのか…と思いつつ敢えて言わず、できるだけ愛想笑いを浮かべて彼女の方を振り向いた。 彼女は安心したのか、 「じゃあごめんだけどよろしくね!」 と、とびきりの笑顔を浮かべて教室を駆けて出ていった。 僕はそれを見送ると、ピアノの譜面台に楽譜を置いて椅子の高さを調整。 屋根をあげて立てると、とりあえず椅子に座った。 目の前の楽譜を見て考える。 …さて、どうしたものか。
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