第1章 普通の日常

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第1章 普通の日常

「ちくしょー!また、全てD判定かよ」 渡部亮は、叫びながら模試の結果を握りつぶした。 「こらー!またそんな適当なことして」 「あんだよ、真由美。お前はいいよな順調に志望校狙える所まで来ていてよ」 渡部は思わず幼なじみの片瀬真由美に不満をぶつける。 「亮だって、本気で勉強すれば楽勝だよ。体育だけじゃなく、他も成績上がるって」 「だってよー面白くねーし。数学なんか、理屈抜きでこの問題にはこの公式とか」 「大学の勉強は楽しそうだよ。より専門的で」 真由美には二歳年上の兄がいる。 「この前お兄の本見せてもらったけど、わけわからないけど、専門的だったよ」 「わけわかんないのかよ」 「だから、大学で勉強して、わけわかるようになりたいのよね」 「真由美は理系志望だっけ?」 「そだよ。お兄と同じ電気科に行く予定」 亮はそんな真由美が眩しかった。成績の振るわない亮にとって、何がしたい。だからこの大学に行きたいなど考えることすらあり得ないことだった。
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