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そうなのだ、この男は今年の夏に僕に衝撃と激動をもって『好意』を『行為』で表現しようとしたのだ…もしあの時、山田さんが登校してこなかったら一体どうするつもりだったんだ?
アレ以来、僕は山田さんに頭が上がらないんだぞ?
「…嗚呼…確かに俺はお前をひんむいて全裸にしたさ! けどソレはお前が山田さんのスク水着てリコーダーを熱烈演奏してたからだろうが! 馬鹿やろおおおおおお!!」
親友は絶叫しながらしゃがみ込む。
?
時々、この親友の発言には理解できない事がある。
僕は、女性の衣類を着用するのに特段興奮するような性癖はない。
「…あの時、僕が水着を着用していたのはリコーダーの課題曲のインスピレーションを求めての結果だったしお前ならソレを分かってくれるだろう?」
「ああ、そうだろうと思ったさ! だから俺は全力でお前があの姿を山田さんやクラスの連中にさらすのを回避したんだよ!」
そう。
僕の親友は、どんなに周りが眉を顰めてもいつだって僕の事を理解してくれる。
だからあの時、僕は驚きはしたけれどまったく不快じゃない…むしろ必死な訴えに歓喜すら覚えたんだ。
だから僕は決めた。
あの時手を握ったように、お前の思いに僕の全力をもって応えようと!
「好きだよ」
「…俺は親友としてどんな事があってもお前を見捨てはしねぇよ…いろんな意味で」
僕の恋人はどうやら素直じゃないらしい。
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